その肩の痛み、筋肉-筋膜が原因かも?
肩関節の痛みを探る
「肩が挙がらない」
「腕を動かすとズキッと痛む」
「夜中に肩が痛くて目が覚める」
これは単なる肩こりではなく、「肩関節の痛み」かもしれません。
肩こりが主に筋肉の張りや凝りであるのに対し、肩関節の痛みは、肩の関節そのものや、その周囲にある腱、靱帯、関節包、滑液包といった組織に原因があることが多いです。
肩関節は人体で最も大きく動く関節であり、それゆえに非常にデリケートでもあります。
この記事では、辛い肩関節の痛みの原因や、考えられる様々な疾患、そして痛みに深く関わる不良姿勢や硬くなっている筋肉について解説します。
肩関節の痛み、どんな症状が現れる?
肩関節の痛みは、原因によって様々な現れ方をします。一般的な症状としては以下のようなものがあります。
肩を特定方向に動かした時に痛みを感じる場合が多くあります。
例えば、腕を上げる、後ろに回す、外側に開くといった動作で痛みが誘発されます。
痛みのために肩の動かせる範囲が狭くなる可動域制限を伴うことも少なくありません。特に夜寝ている時に痛みが強くなる夜間痛は、肩関節の問題でよく見られる症状です。痛みだけでなく、肩の動きに伴って引っかかり感やクリック音(カクカク、ゴリゴリといった音)を感じたり、腕や肩の筋力低下を伴ったりすることもあります。
肩関節の痛み、考えられる原因と疾患
肩関節の痛みは多岐にわたる原因によって引き起こされます。加齢による組織の変性、使いすぎ(オーバーユース)、ケガ(外傷)、そして日常生活での姿勢や身体の使い方の癖などが複雑に関与します。
主な原因と疾患:
最も一般的な原因の一つに、肩関節を安定させたり動かしたりする腱や関節包といった軟部組織の問題があります。
- 腱板損傷(腱板炎・部分断裂・完全断裂): 肩関節を覆う4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の腱の炎症や断裂です。腕を上げる動作での痛みや夜間痛、筋力低下などが特徴です。加齢や使いすぎ、外傷によって起こります。
- 肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩): 肩関節を包む関節包やその周囲の組織に炎症が起こり、痛みが強く、肩の動きが全方向に制限される状態です。原因が特定できないことも多いですが、通常は炎症期、拘縮期、回復期を経て自然に治癒に向かいます。
- 肩峰下インピンジメント症候群: 腕を上げる際に、肩峰(肩甲骨の一部)と腱板などの組織が衝突し、炎症や痛みを引き起こす状態です。特定の角度(60〜120度)で痛みが出やすい特徴があります。不良姿勢や肩甲骨の動きの悪さが関与します。
- 石灰沈着性腱板炎: 腱板にリン酸カルシウムなどの石灰が沈着し、急激な強い痛み(激痛)を引き起こすことがあります。
- 上腕二頭筋長頭腱炎: 力こぶ‐上腕二頭筋の長い方の腱に炎症が起こるものです。肩の前側に痛みを伴うことが多いです。
- 変形性肩関節症: 肩関節の軟骨がすり減り、骨が変形することで痛みや動きの制限が生じます。高齢の方に多く見られます。
- 関節リウマチ: 自己免疫疾患で、関節に炎症を起こし、肩関節が破壊されることがあります。
- 反復性肩関節脱臼: 肩関節が繰り返し外れてしまう状態です。
また、肩関節の痛みだと思っていても、実は首の神経の問題や内臓の病気が原因である「関連痛」の場合もあります。
- 頚椎症や頸椎椎間板ヘルニア: 首の神経が圧迫され、肩や腕に痛みやしびれが放散することがあります。
- 胸郭出口症候群: 首と鎖骨の間などで神経や血管が圧迫され、肩や腕、指に痛みやしびれ、だるさなどを引き起こします。
- 心臓の病気(狭心症、心筋梗塞など)、肺の病気、胆嚢や膵臓の病気などが、関連痛として肩に痛みを感じさせることがあります。
痛みが強い場合、安静にしても改善しない場合、手足のしびれや脱力感を伴う場合などは、必ず医療機関(整形外科など)を受診し、正確な診断を受けることが非常に重要です。
不良姿勢と肩関節の痛みの関係
肩関節は、肩甲骨、鎖骨、胸郭といった複数の骨で構成される肩甲帯の一部であり、その安定性と適切な動きは肩甲骨の正しい位置と動きに大きく依存しています。
猫背や巻き肩といった不良姿勢は、この肩甲骨の位置や動きを大きく制限・変化させてしまい、肩関節に過剰な負担をかける原因となります。
例えば、猫背や巻き肩の姿勢では、肩甲骨が前方に傾き、外側に開いた状態になりやすいです。この状態で腕を上げようとすると、肩峰と腱板の間が狭くなり、**インピンジメント(衝突)が起こりやすくなります。
また、肩甲骨の動きが悪くなると、肩関節だけで腕を動かそうとするため、特定の筋肉や腱に無理な力がかかりやすくなり、炎症や損傷を引き起こすリスクが高まります。このように、不良姿勢は肩関節のバイオメカニクス(生体力学)を崩し、痛みの発生に深く関与しているのです。
肩関節の痛みに関与する主な筋肉と、
硬くなる・弱くなる影響
肩関節の痛みは、関節そのものの問題だけでなく、周囲の筋肉の機能不全も大きく関わっています。不良姿勢や使いすぎ、運動不足などにより、特定の筋肉が硬くなったり、逆に弱くなったりすることで、肩関節の安定性やスムーズな動きが損なわれ、痛みに繋がります。
- 腱板筋(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋):
肩関節の安定化と回旋運動に重要なインナーマッスルです。使いすぎや加齢により腱が損傷しやすいです。これらの筋肉の弱化やタイトネスは、肩関節の不安定性やインピンジメントを引き起こし、痛みの原因となります。
- 上腕二頭筋・上腕三頭筋:
肘の曲げ伸ばしに関わる筋肉ですが、上腕二頭筋の腱の一部は肩関節の中を通っており、炎症を起こすと肩関節前面の痛みに繋がることがあります。
- 三角筋:
肩を覆う大きな筋肉で、腕を上げる際に主に働きます。腱板筋と協調して働きますが、腱板機能が低下すると過剰に働き、負担がかかることがあります。
- 大胸筋・小胸筋:
胸部にある筋肉で、肩を内側に寄せたり引き下げたりする働きがあります。巻き肩の姿勢ではこれらの筋肉が短縮・硬化しやすく、肩甲骨の動きを制限し、肩関節への負担を増やします。
- 広背筋:
背中の下部から腕にかけて広がる大きな筋肉で、腕を下げる、内側に回す動きに関与します。硬くなると肩の動きを制限することがあります。
- 肩甲骨周囲筋(菱形筋、前鋸筋など):
肩甲骨を安定させ、適切に動かすために重要な筋肉です。これらの筋肉の弱化やアンバランスは、肩甲骨の不安定性(翼状肩甲など)を招き、肩関節の動きに悪影響を及ぼし、痛みに繋がることがあります。猫背や巻き肩では特に菱形筋が引き伸ばされて硬くなり、前鋸筋が弱くなりやすい傾向があります。
- 首や背中の筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋、脊柱起立筋など): これらの筋肉の緊張や凝りも、肩甲骨や背骨の動きを制限し、間接的に肩関節の痛みに影響を及ぼすことがあります。
これらの筋肉は、不良姿勢や使いすぎ、運動不足などによって、硬くなったり、あるいは弱くなったりすることで、肩関節の正常な動きを妨げ、関節自体や周囲の組織に過剰なストレスをかけ、痛みを引き起こします。
当店で、「肩の痛み」を“根本改善”できる3つの理由
「四十肩・五十肩だから仕方ない」「注射をしても、また痛くなる…」と諦めていませんか? そのしつこい肩の痛みは、痛む“肩”だけが原因ではありません。当院が、その痛みを根本から改善できるのには、明確な3つの理由があります。
理由① 痛む「肩関節」だけでなく、動きの土台である「肩甲骨と背骨」から整えるから
腕の骨は、肩甲骨という“お皿”の上を動いています。このお皿自体の動きや、お皿が乗っている土台(背骨や肋骨)がガチガチでは、腕がスムーズに動けず、肩関節で衝突や摩擦が起きてしまいます。私たちは、この動きの土台から専門的な手技で解放し、腕がストレスなく動ける環境を再構築します。
理由② 肩を安定させる“インナーマッスル”の正しい働きを呼び覚ますから
肩の痛みは、インナーマッスルが「弱い」のではなく、「正しいタイミングで働けていない」ことが原因です。私たちは、どの筋肉が“サボって”いるのかを的確に見つけ出し、専門的な手技やエクササイズで神経にアプローチ。「今が働く番だよ!」と、筋肉の正しいチームワークを呼び覚まし、関節を安定させます。
理由③ 痛みをかばう「腕の上げ方のクセ」を、脳から再教育するから
痛みをかばっているうちに、脳は「肩をすくめて腕を上げる」といった、間違った動きのクセを記憶してしまいます。私たちは、整体で痛みを緩和させるだけでなく、マンツーマンで正しい身体の使い方を丁寧に指導します。脳に「これが楽で安全な動きだよ」と上書き保存することで、痛みが再発しない身体を目指します。