肩甲骨内側の不快感、その正体は?
凝り、痛み、重さ感の原因と改善策
デスクワーク中にふと気づくと、肩甲骨の内側がカチカチに凝り固まっている…
肩甲骨が重たい感じがする…
ひどい時にはズキズキと痛む…。
このような肩甲骨内側の不快な症状に悩まされている方は非常に多いのではないでしょうか。
肩こりとして片付けられがちですが、この肩甲骨内側の凝りや痛み、重さ感には様々な原因が隠されています。
なぜ肩甲骨内側は凝りやすいのか?
肩甲骨は、背中の上部に位置する大きな骨で、肋骨の上に浮くように存在しています。
この肩甲骨は、腕の動きに合わせて大きくダイナミックに動く必要があり、その動きを支えているのが周囲の多くの筋肉です。
しかし、日常生活での習慣や姿勢の癖によって、肩甲骨の動きが悪くなると、肩甲骨を正しい位置に保ったり、動かしたりする役割を担う肩甲骨内側の筋肉に過剰な負担がかかります。
これが、この部位の凝りや痛み、重さ感に繋がりやすくなる大きな理由です。
肩甲骨内側の不快な症状、主な原因は?
肩甲骨内側の凝り、痛み、重さ感の主な原因は、腰痛の場合と同様に、筋肉や骨格の問題、そして生活習慣に起因することが多いです。
- 筋肉の疲労と緊張:
長時間同じ姿勢での作業(特に前かがみや猫背)、重い荷物を持つ、腕を酷使するなどの動作は、肩甲骨周囲の筋肉を疲労させ、緊張を引き起こします。血行不良も重なり、凝りや痛みに繋がります。
- 不良姿勢:
猫背、巻き肩(肩が内側に入り込んだ状態)、ストレートネックなどの不良姿勢は、肩甲骨を本来あるべき位置からずらし、特定の筋肉に常に負担をかけます。特に肩甲骨を背骨に引き寄せる筋肉が引き伸ばされ続け、硬くなりやすいです。
- 運動不足: 運動不足により肩甲骨周囲の筋肉が弱くなると、少しの負荷でも疲労しやすくなり、症状が出やすくなります。また、肩甲骨の可動域が狭くなることも原因となります。
- 精神的ストレス: ストレスは無意識に身体を緊張させ、肩や背中の筋肉を硬くすることがあります。
- 冷え: 肩甲骨周囲が冷えることで血行が悪化し、筋肉の緊張や痛みを引き起こすことがあります。
- 眼精疲労: 長時間のパソコンやスマートフォンの使用による眼精疲労は、首や肩周りの筋肉の緊張を招き、肩甲骨内側の不調に繋がることがあります。
不良姿勢と硬くなっている筋肉
肩甲骨内側の凝りや痛みに特に関与しやすい筋肉と、不良姿勢との関係は以下の通りです。
- 菱形筋(大・小菱形筋):
肩甲骨と背骨の間にある筋肉で、肩甲骨を背骨に引き寄せる働きがあります。猫背や巻き肩の姿勢では、肩甲骨が外側に開くため、菱形筋が常に引き伸ばされて緊張し、硬くなりやすいです。この筋肉の凝りは、肩甲骨内側の痛みの代表的な原因です。
- 僧帽筋(中部・下部線維):
首から背中にかけて広がる大きな筋肉のうち、肩甲骨を寄せたり引き下げたりする部分です。不良姿勢により肩甲骨の動きが悪くなると、この部分にも負担がかかり、凝りや重さ感の原因となります。
- 肩甲挙筋:
首の横から肩甲骨の上角に付着する筋肉で、肩甲骨を引き上げる働きがあります。ストレスや首の緊張と関連が深く、硬くなると肩甲骨内側の上の方や首筋にかけて痛みを引き起こすことがあります。
- 広背筋:
背中の下部から腕にかけて広がる大きな筋肉ですが、肩甲骨の動きにも関与しており、硬さが肩甲骨周囲の不調に影響することがあります。
- 脊柱起立筋(棘筋・最長筋・腸肋筋):
背骨に沿って走行する筋肉群で、姿勢をまっすぐに保つために重要な役割を担っています。猫背などの不良姿勢では、背骨を支えるために脊柱起立筋が過剰に働き続けたり、不均等に負担がかかったりすることで緊張し、背骨際、つまり肩甲骨の内側あたりの凝りや痛みに繋がることがあります。特に、背中を丸めた状態が続くと、常に引き伸ばされるストレスがかかります。
- 多裂筋:
脊柱の椎骨一つ一つに小さく付着している、非常に深層にある筋肉です。脊椎の安定化に重要な役割を果たしており、不良姿勢や特定の脊椎への負担が続くと機能が低下したり硬くなったりします。多裂筋の問題は、脊骨の際に沿った、局所的で深部の痛みや凝りとして感じられることがあり、これが肩甲骨の内側、特に背骨に近いエリアの不快感として認識されることがあります。
これらの筋肉が不良姿勢によって常に負担を受け続けたり、逆に使われずに弱くなったりすることで、硬さやアンバランスが生じ、肩甲骨内側の不快な症状を引き起こします。
もしかして他の病気?鑑別疾患
肩甲骨内側の痛みや凝りのほとんどは筋肉や骨格の問題によるものですが、稀に他の病気が原因となっている可能性もゼロではありません。特に、痛みが非常に強い、安静にしていても痛む、発熱や息苦しさを伴うなど、普段とは違う症状がある場合は注意が必要です。
鑑別疾患としては、以下のようなものが考えられます。
- 頚椎の疾患:
頚椎椎間板ヘルニアや変形性頚椎症など。頚部の神経が圧迫されることで、肩甲骨周囲に痛みやしびれが現れることがあります。
- 内臓の疾患:
狭心症や心筋梗塞(特に左肩甲骨周辺)、胆嚢炎や胆石症(特に右肩甲骨周辺)、膵臓の疾患、肺の疾患などが、関連痛として肩甲骨周囲に痛みを感じさせることがあります。
- 脊椎の疾患: 脊椎の炎症や腫瘍など。
- 関節の疾患: 肩関節周囲炎(五十肩)などが肩甲骨の動きを制限し、関連する筋肉に負担をかけることがあります。
これらの疾患が疑われる場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
当院で「肩甲骨内側の痛み」が解消する3つの理由
「肩甲骨の内側が、鉄板のようにガチガチ…」
「背中に指が届けば、自分でグリグリ押したいのに…」
つらい肩甲骨内側の痛みや凝り。マッサージでその場は楽になっても、すぐに元に戻ってしまうのは、本当の原因にアプローチできていないからです。 当院が、そのしつこい不調を根本から改善できるのには、明確な3つの理由があります。
理由① 痛い「背中側」だけでなく、原因である「胸側」を解放するから
肩甲骨の内側が痛いと、つい背中側ばかりを揉んだり叩いたりしたくなりますよね。しかし、多くの場合、本当の原因は身体の「前側」、つまり胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)の硬さにあります。
デスクワークやスマホ操作で、胸の筋肉は縮こまって硬くなります。すると、その筋肉が肩をぐいっと前に引っ張り「巻き肩」の状態を作り出します。その結果、背中側にある肩甲骨は外側へ引き剥がされ、内側の筋肉は常に引き伸ばされて悲鳴を上げているのです。
私たちは、この根本原因である胸側の筋肉の硬さを徹底的に解放します。これにより、肩甲骨が自然な位置に戻り、背中側の筋肉にかかっていた過剰なストレスが取り除かれます。
理由② 肩甲骨の“土台”である「背骨と肋骨」の動きを正常化するから
肩甲骨は、肋骨の上を滑るように動く、いわば“浮島”のような骨です。この土台である背骨(胸椎)や肋骨(胸郭)の動きが悪ければ、肩甲骨がスムーズに動けるはずがありません。
猫背や呼吸の浅さによって、この土台はガチガチに固まってしまいます。私たちは、専門的な整体技術で、一つひとつの背骨の動きや、呼吸に合わせた肋骨の広がりを丁寧に取り戻していきます。
土台がしなやかに動くようになると、肩甲骨は本来の自由な動きを取り戻し、内側の筋肉が凝り固まる原因そのものがなくなっていくのです。
理由③ “サボっている筋肉”を目覚めさせ、正しい動きを脳に再教育するから
良い姿勢を意識しても、気づけば元に戻ってしまう。それは、肩甲骨を正しい位置に安定させるための重要なインナーマッスル**「前鋸筋(ぜんきょきん)」などが、仕事を忘れて“サボって”**しまっているからです。
私たちは、整体で身体を整えるだけで終わりません。簡単なエクササイズを通して、この“サボり筋”に「ここが君の仕事だよ!」と刺激を入れ、正しい働き方を脳に思い出させます(再教育)。
正しい筋肉のチームワークが復活することで、無意識でも良い姿勢が保てるようになり、痛みが再発しない、快適な身体を手に入れることができるのです。